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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第13章 しのちゃんの受難(八)
「明日からは朝も国語準備室には行けないと思う」
「仕方ないでしょ。それが教育実習なんだから、集中してね。でも、最後の一週間、楽しんでね」
「うん……頑張る。でも、我慢の限界を感じたら、準備室行ってもいい?」
「限界、ねぇ」
宗介の我慢の限界なんてすぐ来てしまうだろう。我慢のできない人だから。
「そのときは、ちょっとでいいから触らせてね」
「はいはい」
約束だからね、と言いながら、宗介は帰って行った。
帰るまでの間にたくさんキスをして、それでも宗介は不満そうだった。本当に名残惜しそうだった。
エントランスまで下りると誰に会うかわからないので、玄関でサヨナラをした。
また、一人の部屋だ。
さっきまで二人だったことを考えると、少し寂しい。寂しいな。
玄関で、キッチンで、浴室でキスをした。ベッドで、ソファで、セックスをした。
まだ、その余韻が、体にも部屋にも残っている。
キスマークは体のあちこちに散見するし、部屋のゴミ箱はティッシュでいっぱいだ。月曜はちょうど燃やすゴミの日だから、良かったけれど。
ソファに座って、足の絆創膏を貼り替える。
ここで何回して、何回達したんだっけ?
そんなことを考えていたら、絆創膏の粘着面がくっついてしまい、使いものにならなくなる。
「あーあ」
仕方がない。私、自分のこの部屋に恋人を招いたのは初めてなのだ。浮かれてしまうのも、仕方のないことなのだ。きっと。