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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第14章 【回想】里見くんの協力者
「自分なら篠宮先生を幸せにできる、とはまだ言えません。学生ですから。でも、高村さん以上の愛を篠宮先生にプレゼントすることはできます」
「……」
「篠宮先生のそばにいたいんです。一日中、ずっと。それこそ、死ぬまで。死んでからも」
また拒絶されたら、と考えないわけがない。想いを伝えて、また拒絶されることを考えたら、怖くて怖くて、震えてしまう。
けれど、それを踏まえても、俺は彼女のそばにいたい。
「……ちょっと、落ち着きましょう。あなたの気持ちはわかったから」
学園長代理は少し呆れたような口調で俺をたしなめる。
力説するあまり、俺はいつの間にか立ってしまっていた。慌てて長椅子に座り直す。
「す、すみません、お見苦しいところを」
「いいわよ。恋愛感情なんてみんな見苦しいものなんだから。で、里見さん」
「はい」
「――来年まで、待てる?」
どういう意味だ? 来年まで待て、というのは。
「たぶん、小夜は高村を愛してはいないわ。情だけで彼のそばにいるの。小夜の情を枯渇させるのに時間が欲しいのよ」
「時間……」
学園長代理は、苦すぎるコーヒーを飲んだときのような顔で、笑みを浮かべた。