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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第16章 しのちゃんの受難(十)

「今日はどうする?」
「荷物も持ってきたし、泊まっていい?」
「いいけど……先週みたいな激しいのはやめてね」
「え。先週以上に貪りたいんだけど」

 宗介の目は既にギラついている。何なら今すぐ三回戦目に突入しても構わない、という視線に、ただただ背筋が凍る。
 怖い。怖いから。
 深く求められるのも、良し悪しだ、本当に。

「小夜」

 宗介に優しく抱きしめられる。この暖かな腕の中は、今ではとても安心できる場所になってしまった。
 ……十四時、お腹が空くはずだ。お昼は何を食べようかな。公開失恋のおかげで、一緒にいるところを生徒に見られても言い訳ができるようになったことだし、そのあたりのファミレスでも構わないかな。

「小夜、愛してるよ」

 甘い声に、心が満たされていく。好きな人と肌が触れ合うのは幸せだと思う。とても、幸せ。

「今夜も一晩中、愛し合おう?」

 あー……でも、やっぱ、それは無理。
 軽めのやつでお願いします。



 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな


 ――あなたと、末永く一緒にいられたら幸せです。

 宗介。

 ねぇ、あなたなら……私と幸せに、なってくれる?
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