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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第4章 【回想】里見くんの計画
高校二年のとき、篠宮小夜さんが教育実習生としてやってきたが、俺たちのクラスでも学年でもなく、一年の担当になった。
俺たちの隣のクラスに実習生はいたが、冴えない男で、教師になりたいという気力は感じられなかった。ただ免許を取得したいだけの学生のようだった。
稲垣も小夜さんと学年が違ってガッカリしていたが、また塾で会えるのだからと、そう気にはしていないようだった。
稲垣と違い、接点のない俺は焦った。何とかして、彼女に近づきたい。けれど、多忙な実習生を引き止めることは難しい。
職員室の隣の会議室の前には、実習生と話したくて仕方がない生徒たちで常に人だかりができている。
そんな中をかき分けて進んで、注目を集めながら「妹と遊んでくれてありがとうございます」などと感謝の言葉を述べる勇気はなかった。
だから、俺は、実習中は「彼女には」何もしないことにした。
彼女がバイトをしている大塚塾の情報を集めることにしたのだ。
幸い、稲垣以外にも大塚塾へ行っている生徒は多く、特に女子は、口が軽かった。
「しの先生はたか先生と付き合ってるよ」
「たか先生も教育実習でどこかの学校に行ってるよ」
「たか先生、カッコよくて好き! 付き合いたい! でも、しの先生に悪いかなぁ」
俺が目をつけたのは、たか先生、とやらが大好きなクラスメイトの椿だ。
椿はたか先生の数学の個人授業を履修しており、本当に惚れているようだった。
そして、本気で小夜さんからたか先生を奪いたいと思っているようだった。
利用しよう。俺は計画を綿密に立て、実行した。
俺たちの隣のクラスに実習生はいたが、冴えない男で、教師になりたいという気力は感じられなかった。ただ免許を取得したいだけの学生のようだった。
稲垣も小夜さんと学年が違ってガッカリしていたが、また塾で会えるのだからと、そう気にはしていないようだった。
稲垣と違い、接点のない俺は焦った。何とかして、彼女に近づきたい。けれど、多忙な実習生を引き止めることは難しい。
職員室の隣の会議室の前には、実習生と話したくて仕方がない生徒たちで常に人だかりができている。
そんな中をかき分けて進んで、注目を集めながら「妹と遊んでくれてありがとうございます」などと感謝の言葉を述べる勇気はなかった。
だから、俺は、実習中は「彼女には」何もしないことにした。
彼女がバイトをしている大塚塾の情報を集めることにしたのだ。
幸い、稲垣以外にも大塚塾へ行っている生徒は多く、特に女子は、口が軽かった。
「しの先生はたか先生と付き合ってるよ」
「たか先生も教育実習でどこかの学校に行ってるよ」
「たか先生、カッコよくて好き! 付き合いたい! でも、しの先生に悪いかなぁ」
俺が目をつけたのは、たか先生、とやらが大好きなクラスメイトの椿だ。
椿はたか先生の数学の個人授業を履修しており、本当に惚れているようだった。
そして、本気で小夜さんからたか先生を奪いたいと思っているようだった。
利用しよう。俺は計画を綿密に立て、実行した。