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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第3章 孤独-切れない葛藤
見渡す限りの海と、少し肌寒い潮風が気持ち良い、墓地という場所にも関わらず、海との綺麗なマッチング。
こういうのは悪くない…
何も考えず暫く歩いた後、高台にあるという喫茶店に向かう。
喫茶店と言うか一般住宅っぽく、どちらかと言えば隠れ家的感覚…
手作り風の看板が無ければ、通り過ぎてしまうような雰囲気が、今の私には丁度良い。
カランと扉に付けている鐘の音と共に中へ…
中も手作り風‥だが、窓際の席から見る海と地平線は絶景。
勿論、窓際の席に……
「いらっしゃいませ…」
「サンドイッチと珈‥いえ、ココアをお願いします」
「はい……」
「・・・・・」
海を見ながら、ついココアと注文してしまった事に、軽い罪悪感……
まだ、早乙女邸に来た頃に、美紀様が好んで食べていたメニュー
あの頃は、カフェイン類が飲めなく、ココアばかりを飲んでいた…
そういう私も、何度美紀様にココアを淹れた事か……
他に任せても良かった、だが会長の言葉と、精神的にも肉体的にも不安定な美紀様を見ていられず、私が積極的に美紀様のお世話を望んだ。
「お待たせいたしました、ココアはホットで良かったですか?」
「ああ‥はい…
言っていませんでした、すみません」
テーブルに置かれた、サンドイッチとココア…
本当に久しぶりに見る。
「・・・・・」
また海を見ながら一口…
普通の玉子サンドだが、味は悪くない。
「・・・・・」
美紀様も、良くこうして窓から外を見て食事をしていた…
あの頃の美紀様は、何を思っていたのだろうか?
まだ、私に対しても敬語で、心開く様子も無く、それでも私は、毎日悩みながら美紀様の為に買い物へ…
高校生‥しかも女性が好む物というのは、私には分かりにくく、随分苦労していた。
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