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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!

「ああ、どうしよう……」
しかし、どんなに世間体とか体裁のあれこれを考えてみても、あやふやな今の段階、とりあえずは動けない。
もっと時間をおいて、再度検査薬を使ってみるしか。
「妊娠ってこんなに気が重いもの……?」
憂鬱すぎると、朱羽の反応を考えるだけでも沈み込む。
少しでも、「失敗した」と後悔するような顔をされたら、あたし多分立ち直れない。
避妊なしのセックスをしたことに、これ以上ないほど幸せを感じただけに、その後、こんなに不安と恐怖に苛まされてしまうなんて、あの時予測出来ただろうか。
ああ――。
朱羽に秘密を作ってしまうのもしんどい。
さらにもし赤ちゃんがいたら、嬉しいと母親に思われないなんて、可哀想すぎる。
ああ、もう……頭がぐちゃぐちゃだ。
朱羽からLINEが来て、途中待ち合わせた。
今から顔が強張ってしまうため、ぱしぱしと頬を叩いて気合いをいれる。
「遅くなってごめん、陽菜。結城さんをタクシーに押し込んできた」
朱羽はほんのりと酒気を帯びて、色っぽい。
眼鏡の奥の目許が、艶めいている。
楽しい飲み会だったのだろう、ご機嫌に見える。
だから笑ったつもりだったのに、あたしの顔を見て、朱羽は訝しげな目を寄越した。
「なにかあった?」

