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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!

「――陽菜、おめでとう!!」
「陽菜ちゃん、おめでとう」
「鹿沼ちゃん、嬉しいよぉぉぉ!」
美女三人組は泣いてあたしに抱き付いてきた。
特に衣里が泣きじゃくっていた。
「具合悪い時に、私のために本当にごめん。トイレに行くと言っていた時、気づけばよかった。私、友達失格だ!」
「違うよ、あたしが……言い出せなかったからで」
「朱羽、お前が父親か! 先を越されたけど、めでたいな、おいコラ!」
半泣き状態の渉さんが、朱羽の背中をバシバシ叩く。
「俺のことは、おじさんとよばせるなよ。お兄ちゃんって呼ばせてな。お前が呼んでくれないから、せめてお前の子供に呼ばせる!」
地味に渉さんは、朱羽から「お兄ちゃん」と言われたかったらしい。
「嫌だよ。お兄ちゃんと呼ぶのは、弟の特権だろう? 俺の子供は渉さんの弟じゃない。渉さんの弟は、俺じゃないか!
……地味に朱羽も、弟の特権を譲りたくないらしい。
「じゃあ、呼べよ。お兄ちゃんって」
「は? 今?」
「ああ、呼べ! 呼ばないと、お前の子供は……」
すると朱羽は悔しそうに顔を歪ませながら、若干潤んだ目で小さく言った。
「渉……お兄ちゃん」
そして赤く染まった顔を、ぷいと横にそらした。
……多分、そんなことを言うくらい、朱羽はハイテンションなんだろう。
途端に渉さんが破顔して、朱羽に抱き付く。
「萌!!!!」
そんなふたりに、向島専務より無情なひと言。
「……アホくさ」

