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Oshizuki Building Side Story
第3章 praying for Moon
「陽菜、これ陽菜が買ったんでしょう!?」
「あたしはたくさんあるからいいの」
「香月も、これはお前が……」
「違う神社やお寺から、二桁以上もの縁結びのお守りを買いました。縁結びパワーのお裾分けです」
「二桁!? お前神社仏閣巡りが趣味だったのか!? 25歳のくせに!?」
あたしと朱羽は顔を見合わせて笑った。
そしてふたりを邪魔するまいと、挨拶をして帰ろうとした時、ふたりに引き留められた。
「あのね、陽菜……。せっかく会えたんだし」
「そうだな、せっかく四人揃ったんだから、参拝しようぜ。シークレットムーンの繁盛を願ってさ、去年までの続きとして、今年からは……香月を含めた四人で。四倍の祈願だ、神様も無視は出来ないさ」
「うん! 朱羽、いい?」
「勿論」
朱羽は優しく笑い、そしてあたし達は出てきた道を引き返した。
賽銭箱の前、紐(鈴緒)を引いて、ガランガランと勢いよく本坪鈴を鳴らす。
横一列並んだ四人で、揃って手を叩く。
同時に口に出した言葉は、同じだった。
「「「「シークレットムーンが繁盛しますように」」」」
そしてもうひとつ。
「「「「私の愛するすべてのひとが、幸せになりますように」」」」
あたしの愛する月よ――。
その未来に栄光を。
闇夜を祓う光となれ!
Praying for Moon【完】