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Oshizuki Building Side Story
第5章 Coloring in a moon

杏奈が着拒しないことに、めらめらと嫉妬の炎を燃やしているのが、しゅうしゅう木島くん。
フリフリ杏奈の隣に立つのに相応しい斬新なデザインを、野生児の結城ではなく都会派の朱羽にアドバイスを(執拗に)求めたようで、流行のファッションとかには興味がない朱羽がアドバイスしたのは無難に、『映画とかドラマによく出て来たものを参考にしたら?』。
すると木島くんが買ってきたのは、崩れかけた顔をしたゾンビのTシャツだったようだ。
――彼のセンスが理解出来ない……。
いやいや、あたしはとうに知っていたよ?
彼のセンスが壊滅的でも、WEB部のデザインがよければ、すべてよし。
「……ということで、俺達が行った親会社のシステム構築を三上に、紹介して貰えた子会社の方のシステムとWEBは、香月と鹿沼に任せるわ」
結城の声にあたしと朱羽、そして杏奈は頷いた。
「でもさすがは結城と衣里だね。仕事をさらにとってくるなんて」
「そりゃあ、私がいるからね」
衣里が気取ったように、長い髪を片手で後ろに流した。
「お前……、俺のおかげだろう!?」
「あら。経済の話題を振られて、口籠もっていたのは誰かしら」
そうか、今回は衣里に軍配があがったのか。
それでも――。
「いよっ、さすがはゴールデンコンビ! 同期の誇り!」
この無敵な営業がいれば、シークレットムーンは大丈夫だと思えてくるんだ。
営業が仕事を確実にとってくるから、だからプログラムもWEBも最高の仕事をして、客を笑顔にさせたいと思える。
この素晴らしきチームワークこそが、愛すべきシークレットムーン!
……それを確固たるものにしたのが、あのトラブル三昧だと思う。
今、会社に残るのは、同期が率いる同志達。
月代社長も、安心して療養出来るあたしの自慢の仲間達だ。
団結力が強まった今、より一層仕事に燃えている。
なにより隣に朱羽がいてくれるのなら。
同じ未来を見つめられるのなら。
あたしは、どこまでも無敵になれる。

