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Oshizuki Building Side Story
第5章 Coloring in a moon

「ふふふ、顔が真っ赤だよ、陽菜。体、ようやく温かくなったようだね」
温かいどころか熱いんですけれども。
それはまさか、暖を取るための演技とか……。
「芝居のわけがないだろう? 俺もこんなに熱いんだ、陽菜が欲しくて」
茶色い瞳に情欲の光を過ぎらせて。
「あなたを、抱いていい?」
あたしのどこかで、メーターが振り切れて警鐘が鳴り響く。
完全許容量オーバー。
ぷすぷすと音がして、焦げ臭い匂いすら感じる。
あたしはそのまま立ち上がると、ぎこちない動きで片手を上げ、
「陽菜?」
びしっと敬礼をして朱羽に言った。
「先に、行っているでごわす」
……朱羽が爆笑したのは、言うまでもない。
テンパっていたんだってば!
朱羽に何度愛の言葉を囁かれても、濃厚に愛されても、それでもいまだ慣れることはない。
いつでも、朱羽に恋をしてしまうから――。
ミーティングルームには、既に結城と衣里が並んで座り、そこから2つ開けたところに杏奈。結城と衣里の真向かいにあたしと朱羽が並んで座った。
杏奈は一段とピンクのフリフリ西洋ドール。
一度は大層な美女の姿に戻ったものの、やはり素はこちらだとロリ姿になった。
あたし達的には、無理姿は慣れきった懐かしいものだったけれど、やはりまだ向島専務は慣れていないようで、戸惑っているようだ。
嫌なら接触をやめればいいのに、シークレットムーンに来る渉さんが呼び出すとすぐにやって来て杏奈を探すし(だけど自分からは来ないのは、色々と思うことがあるんだろう……)、プライベートで杏奈に何度も電話をかけてくるらしい。

