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Oshizuki Building Side Story
第5章 Coloring in a moon

 
 
「結城が、これくれたの。品川アクアパークにデートに行けって」

 長いこと陽菜を打ち合わせに拘束させた結城さんなりのお詫びなのか、きっと衣里さんといくはずだったんだろう入場券を2枚、陽菜の手に握らせたらしい。

「結城ってば、働き過ぎの衣里を休ませようとは、いいところあるよね。そんなことなら、あたし苦手の営業、頑張っちゃう」

 ……確かに衣里さんは頑張り過ぎている。
 彼女に新たな仕事を増やさぬようにと、期間限定で陽菜に応援を頼んだらしい――それが、打ち合わせ時に結城さんが陽菜を残した理由だったらしい。

 そんなわけで、陽菜の要望により、仕事帰りに水族館に寄ることになった。

「朱羽、花火バージョンだって!」

 水族館と言えば、巨大水槽で泳ぐ魚の展示場とばかり思っていたけれど、この場所はそれだけに止まらない演出をしているらしい。

 入場時に渡されたチラシを見ていた陽菜が、小さな名前を見つけて騒ぐ。

「ねぇ、この空間演出家、喜多見響だって!」
「喜多見響?」

 陽菜から出た、見知らぬ男の名前に知らず知らずに俺の声が固くなる。
 いまだ、俺が知らない男の影でもあるのか。

「うん、イケメンカリスマデザイナー。前にうちで、アムネシアの『溺恋』CMのデジタル編集を、めっちゃくちゃ大至急で頼まれたじゃない、AACの加賀社長に」

 加賀社長は、渉さんが紹介してくれた広告代理店の社長で、モデル斡旋などもしている『アートエージェンシーコーポレーション』……通称AACという会社を経営している。
 渉さんと随分と気が合うらしい、ざっくばらんで男気ある社長だ。

 俺達がしたのは、加賀社長から貰った動画を、貰った音楽データに沿って編集&カットしてつなぎ合わせて、タイトルを出したりとの、普通の動画編集で。
 あのCMで、一番のセンスを見せて活躍したのは――。
 
――課長、アドバイス通り、今流行のゾンビ(Tシャツ)にしたっす! インパクトありありっすよね?

 ……どうしてそのセンスが、プライベートに役に立たないのか、いつもながら不思議でたまらないけれど。
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