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Oshizuki Building Side Story
第1章 Shining bright Moon
ひとつキスをする度に、またひとつ好きになって。
好きになったよと伝えたいために、またキスをして。
キスをする度にあたし達は微笑み、少しずつ長いキスになっていく。
何度も味わったキスは、やはり蕩けるように甘く気持ちがよくて、逃れられないほど朱羽の唇に吸い込まれていく。
どうすればこの想いが伝わるのか。
足を絡ませあい、ぴったりとくっつくように抱き合いながら上に下に横にと転がって、やがて余裕がないほど性急に相手を求める。
カーテンからの光が、揺れてひとつになるあたし達を照らし出す。
苦しげに腰を打ち込む朱羽。
反り返りながら、朱羽の背中に爪をたてるあたし。
熱の籠もった声は甘美なユニゾンを奏で、ひとつになって高みに駆け上がる行為は、神聖なものへと変わっていく。
飛び散る汗。
歪められる顔。
朱羽の顔を見て、朱羽の感じている色っぽい声を聞いて、朱羽の匂いと熱で――。
「愛してる」
弾け飛ぶあたしの目に、朱羽から飛び散る汗がキラキラと宝石のように輝いたように思えた。
やがて、ため息のようなやるせない息をついて朱羽が顔を上げれば、扇情的な男の表情をした顔の中、日光を浴びた朱羽の茶色い瞳が活き活きと輝いた。
「陽菜、愛してる――」
あたしは何度もこの男に恋をするだろう。
澄んだ色を持ちながら、どこか妖しげな色と、安心と調和の色も持つ――あたしを魅了するタンザナイトの神秘的な光のように、いろいろな顔を見せてくれる朱羽こそが、あたしの生きる道標なのだから。
この先も、あなたがあたしの元に来てくれるように、誰よりも輝いていたい……そう思う。
Shining bright Moon【完】