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癒らし屋日記 #葵さん
第2章 その、馴れ初め
「うなじからおしりまで、背骨のデコボコのひとつひとつを、ぼくの先っぽで、撫でてあげたい。ガチガチに固くなった先っぽからにじんでくる透明なオイルを、塗り付けてあげたい」
彼女は何も言わず、膝をキュッと閉じ、下唇を噛んだ。
そしてテーブルの下で、そっと、ズボンの上からぼくの股間を触った。
「もう言わないで」
彼女はそう言った。
ぼくは彼女の耳に口を寄せて、もう一度、淫語をささやいた。
「もう勃起してるの判る? たぶん先っぽが濡れてるよ」
彼女はこちらを向くと、「もう言わないでって言ったでしょ」と言った。股間におかれた手を離し、ぼくをにらんだ。
やり過ぎた、と思った。
「言うこと、聞いてくれる?」
彼女の質問に、yes以外の言葉を返せる男などいないだろう。
「わたしが嫌だ、と言ったらやめてくれる?」
ぼくはコクコクと、小さく何度もうなずいた。
「フェアでいたいの」
彼女はそう言うと、喫茶店の伝票を持って、先に席を立った。「ここは払うから」
たぶん、その格好良さに参ってしまったんだと思う。