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LOVE JUICE
第3章 酔うなら眩しい夜がいい
その綺麗な手が気付くと私の顎に添えられていて唇が触れそうな距離にあった。体が熱い。ここにはたくさんの人がいるのに私達を気にする人は誰もいない。
何故って"そういう場所"だから。


「ほら抵抗しなきゃ」

ふふっ、と笑いながら彼は離れていく。何も答えられない。ただぼんやりとした頭で数秒前の出来事をまだ理解できずにいる。キス、は、していない。

「…………?」

「……本当に無防備だね」

行くよ、と突然手を引かれ慣れない高いヒールで躓く。

「行くって、どこに」

「二人で抜けようって意味だよ御嬢さん」

からかうような口調には余裕があり、つい納得してしまう。

「……待って、私友人に飲み物を」

「友達ってどの子?」

「向こうの赤いロングドレスの……」

友人が待つテーブルを指差す。

「わかった。……悪いちょっといいか?これであそこの赤い女の子に一杯」

近くにいた男性にチケットを渡しそう言い残し「ほら行くよ」と再び私の手を握る。あまりのスマートさに声も出ない。ただ手を引かれるまま、気付けば店の外を歩いていた。


冷たい空気も酔いをさますことはなかった。
見上げる彼の横顔があまりに端整で魅惑的だったから。
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