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LOVE JUICE
第1章 電車で感じてごめんなさい
「あっ…すみません」

乗り込む時に思い切り若いサラリーマンにぶつかってしまった。咄嗟に謝るものの、声は届いたのか届いていないのかわからない。反応はなかった。

上手くドアの隅に陣取ることができ、ひとまず安心したものの、すぐに単語の暗記がまずいことを思い出す。
慌てて単語帳を開き、続きをめくる。

(faculty,charm,ethics...e,t,h,i,c,s.....覚えられないなぁ狭いし)

背中を座席の端に預け、ドアの窓の外の空を見上げる。快晴とは言えないが空は明るく、まずまずの天気だ。

前ではぶつかった相手ではないが同じような若いサラリーマンがスマホを熱心に見ている。イヤフォンを片耳だけさし、おそらく音楽を聴いているのだろう。向かい合う形で立っているので画面は見えないが。

(なんか向き合ってると気まずいから逆向いてくれないかなぁ…でもスマホ見てるからまだマシか…気にしないようにしよう。まずは単語)


ガタンッ

『停止信号です しばらくお待ちください』

急に電車が揺れ、停まった。

(………?!)

サラリーマンの足が両足の間に割って入っている。相手の方が背が高く、膝の上の腿のあたりに私が乗るような体勢だ。

「す、すみません」

(なんで私が謝ってるの)

思わず謝ってしまうのが日本人の悪い癖だ。
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