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LOVE JUICE
第1章 電車で感じてごめんなさい
聞こえていないのか、体勢は変わらない。

(どうしよう…)

『お待たせしました 間も無く発車いたします』

…ガタンガタン

ゆっくりと電車は走り始めた。
サラリーマンは発車の揺れに耐えようと座席横のポールに捕まった。
ちょうど私は、座席と、ドアと、サラリーマンの足と、それから腕で囲われてしまった。

(何この状況…集中できない……)

降りる駅まであと8駅ある。サラリーマンがどこで降りるのか知らないが、4つ先のオフィス街か、その次のターミナル駅だろう。

(はやく降りて……)

クイッ

(えっ)

足がかすかに動かされ、少しだけ体重を預けていた私はその動きの刺激をちょうどクリのあたりで受け止めてしまった。

クイッ

(ちょっと、動けるならどかしてよ、足)

その思いを伝えるべく身を捩るが、不覚にも身長差には勝てず自ら刺激を増してしまう結果となった。

「…っ………ん」

どうにかして安定する体勢を見つけようとするも、上手くいかず余計に擦れてしまう。

(ダメ…動かしちゃダメ……)

その気持ちを読んだかのようにサラリーマンは足をクイックイッと何度か押し付けてくる。間違いない。当たってるってわかってやってるんだ、この人。

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