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サキュバスちゃんの純情《長編》
第12章 性欲か生欲か
「私が大好きだった人が、尾道のあの海で死んだの」
彼が私のせいで死んだこと。
大好きだったから、他の人を好きになるのが怖かったこと。
彼以外に心を許したくなくて、セックスをするだけの関係を望んだこと。
それらを、二人に話す。かいつまんで、だけど。きちんと私の言葉で伝えたかったから。
「でも、一日海にいて……湯川先生と翔吾くんと一緒に生きていたいって、彼にお願いしてきました」
でも、私は決めたのだ。私一人で考えて、結論を出したのだ。逃げて、逃げて、逃げ続けたことから、目を逸らさずに。
幸せになりたい、と。
「だから、私……私は、二人のことを、二人のことが……好きで仕方なくて……っ」
今日だけは、涙もろくても許して欲しい。
笑顔で言いたいのに、そんなの無理だ。涙が溢れて溢れて仕方ない。
好きだ。
好きで仕方ない。
二人のことが、好きで好きでどうしようもない。