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サキュバスちゃんの純情《長編》
第15章 小咄(二)

【祝電】

「ねぇ、いただいた祝電を見ていたんだけど、名前が書いてなくて……これ、あなた宛のものかしら?」
「どれだろう?」
「この、クマの祝電。式場の方に聞いても、誰が受け取ったか覚えていないらしくて、伝票もなかったみたい。宛名もないし、御礼ができなくて困ってしまって」
「……うん、これは俺の友達だよ。御礼は俺からしておくから、気にしないで」
「そう? じゃあ、お願いね」

 ソファに腰掛け、友を思う。……想う。

「……『月の明かりに照らされた道を行く、二人の前途に幸多からんことを』……ねぇ。普通に名乗ってくれて構わなかったのに」

 宮野潤は、「友」を想う。
 祝電に込められた、精一杯の愛に気づいて。

 彼女の、幸せを願う。

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