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おにいちゃん、おしえて。
第9章 初恋は実らない?
――そして。

清花は、大学を卒業し、東京で一人暮らしを始めた。
お父さんとお母さんは「地元で就職したらいいじゃないか」と心配していたけれど、どうしても行きたいと言ったら、最後は許してくれた。

背の高い丸いビルが、私の職場。

清花はほんの少しだけ、トワレを手首の内側につけた。
これはずっとお気に入りで、柑橘の香りがする。

自分しか香らない程度のほのかなものだが、これをつけていると、守られている気がする。
この日も、ほんの少しの量をつけ、ヒールのあるパンプスをはいて会社に向かった。



私は、やっぱりおにいちゃんが好きで。
つきあおうって言ってくれる人もいたけれど、やっぱりおにいちゃん以外考えられない。

あの日の約束を真に受けているわけじゃない。
でも、このまま会わないのは、絶対に後悔する。

いきなり電話したらびっくりしちゃうだろうし、門前払いされても悲しいから、私はある方法を選んだ。
ストーカーって思われるかもしれないけれど、それほどおにいちゃんに会いたかったキモチだけは伝えたい。
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