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shigure**
第2章 春時雨

車の中に置かれたスカッシュ系の芳香剤が鼻腔をくすぐる。
隣の運転席に目を移し
(ここにいつも、先生は座ってるんだ…)
と考えると、なんとも形容しがたい興奮とも取れる感情がすばるの中に沸き立った。
そうこう考えているうちに、右手にビニール袋を下げた天多先生が車へ戻ってきた。
そして先生はコツン、とおでこに何かを当てた。
「ほら、これ飲んで体あっためな。」
「あ…ミルクティー…。ありがとうございます。」
私はそういうと笑顔でミルクティーを受け取り、両手で包んだ。
「家、どの辺?」
「向ヶ原町です。この道をまっすぐ行って3つ目の角を曲がった方の。先生もこの辺りに住んでいらっしゃるんですか?」
私がそう尋ねると、先生は車をバックさせながら答えた。
「うん。向ヶ原のとなりの河内町。大学に進学するにあたって上京してから、ずっと同じマンションに住んでる。」
「あ、すごく近いんですね。」
こんな他愛もない会話がものすごく幸せに感じる。
今日出会ったばかりなのに、ずいぶん昔から知っているような…そんな心地よさを先生からは感じた。
「保科さん…だっけか。いま家にご家族はいる?」
「いえ。母親は出張で明後日までいなくて、兄も泊まりで出かけているので誰もいません。」
「そっか。じゃあ夜ご飯とかも自分で作んの?」
「はい。まだまだレパートリーが少ないですが、練習がてら自分で作ってます。先生も料理しますか?」
ちらりと横目で運転する先生を見る。
笑顔で楽しそうに私と会話をしてくれているその横顔に、思わず胸が高鳴る。
「あぁ。一人暮らしだし、料理するの好きだから自炊するよ。面倒くさいときなんかは弁当買って帰っちゃうけどね。」
「そうなんですね。」
(先生の作った料理、食べてみたいな…)
隣の運転席に目を移し
(ここにいつも、先生は座ってるんだ…)
と考えると、なんとも形容しがたい興奮とも取れる感情がすばるの中に沸き立った。
そうこう考えているうちに、右手にビニール袋を下げた天多先生が車へ戻ってきた。
そして先生はコツン、とおでこに何かを当てた。
「ほら、これ飲んで体あっためな。」
「あ…ミルクティー…。ありがとうございます。」
私はそういうと笑顔でミルクティーを受け取り、両手で包んだ。
「家、どの辺?」
「向ヶ原町です。この道をまっすぐ行って3つ目の角を曲がった方の。先生もこの辺りに住んでいらっしゃるんですか?」
私がそう尋ねると、先生は車をバックさせながら答えた。
「うん。向ヶ原のとなりの河内町。大学に進学するにあたって上京してから、ずっと同じマンションに住んでる。」
「あ、すごく近いんですね。」
こんな他愛もない会話がものすごく幸せに感じる。
今日出会ったばかりなのに、ずいぶん昔から知っているような…そんな心地よさを先生からは感じた。
「保科さん…だっけか。いま家にご家族はいる?」
「いえ。母親は出張で明後日までいなくて、兄も泊まりで出かけているので誰もいません。」
「そっか。じゃあ夜ご飯とかも自分で作んの?」
「はい。まだまだレパートリーが少ないですが、練習がてら自分で作ってます。先生も料理しますか?」
ちらりと横目で運転する先生を見る。
笑顔で楽しそうに私と会話をしてくれているその横顔に、思わず胸が高鳴る。
「あぁ。一人暮らしだし、料理するの好きだから自炊するよ。面倒くさいときなんかは弁当買って帰っちゃうけどね。」
「そうなんですね。」
(先生の作った料理、食べてみたいな…)

