この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘蜜トラップ
第4章 惰性と欲求
「いー、の? やめても」
「ぅ、やめないで……っ、優しくしないで、」
痛みなんてないけど、痛いくらいでもいい。この快楽の渦に飲まれていく感覚があまりにも甘過ぎて怖い。溺れてしまいそうで。
自分の声だとは思えないくらい甲高く、消えそうな声。自分の身体じゃないみたい……。
「も、っぁあ……んん」
「は……っ」
「っ!」
「……っ、おい」
掠れたような官能的な声。耳の奥を刺激して、身体が反り返る。下腹部がきゅうっと疼いて、柳瀬は苦しそうな顔をした。
「せんせ、」
「なに、煽ってんの?」
「っ……ぅあっ」
ズン、と深く沈んで私を貫く。
柳瀬もそんな顔するんだ。大人の色気を余すことなく漂わせて、なのに余裕のない熱い吐息を落とす。欲情して、破裂しそうな身体と激しく音を立てる心臓。
小さな悲鳴にも似た声が喉の奥から飛んで出てくるのも、まるで自分じゃないよう。
こんなに色欲に塗れた空気は、感じたことがない。幼い衝動と欲求はあれど、息が詰まるような重い色と熱に魘されるみたいな感覚は、快楽を超えた痛覚。
イっても、まだ見えぬその先があって、それが私を襲う。こんなに怖いのに、もうこんなに気持ちいいのにーー
「ほら、もっと善がって」
「ぁああっ……ゃ、いいっ……ぁん」
ひとつになる。
繋がって、何度も何度も互いの存在を知らしめるみたいに。
ナカが熱い。身体が熱い。
下腹部がジンジンする。
ナカだけではイけない体質だと思ってたのに……。
「ぁ、あ、やだ……イきそ、」
ぐちゅぐちゅと厭らしい音が耳の奥に飛びこんでくる。自分の体液に興奮するくらいおかしい。
「ゃなせ、それ……っ、やだぁっ」
腰を押し付けたまま私のナカを掻き回す。入ってきたときより、もっと硬くて大きくなってる気がする……何度もイイところに当たって。
「っ、は」
「…っなせ、私もう……っイっちゃ、う」
じゅくじゅくになってしまったそこが疼いて、イく寸前まで押し寄せてきた。もう耐えられない。
「いいよ、ほら、」
一層深く沈み込んできて、奥で私が柳瀬を捕らえて離さないみたいに……っ。
「っぁああっっッ!」
「っ、う」
柳瀬は額から汗を垂らし、少し潤んだその瞳を閉じて長い睫毛を震わせる。