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甘蜜トラップ
第4章 惰性と欲求



「いー、の? やめても」

「ぅ、やめないで……っ、優しくしないで、」


痛みなんてないけど、痛いくらいでもいい。この快楽の渦に飲まれていく感覚があまりにも甘過ぎて怖い。溺れてしまいそうで。

自分の声だとは思えないくらい甲高く、消えそうな声。自分の身体じゃないみたい……。


「も、っぁあ……んん」

「は……っ」

「っ!」

「……っ、おい」

掠れたような官能的な声。耳の奥を刺激して、身体が反り返る。下腹部がきゅうっと疼いて、柳瀬は苦しそうな顔をした。

「せんせ、」

「なに、煽ってんの?」

「っ……ぅあっ」


ズン、と深く沈んで私を貫く。

柳瀬もそんな顔するんだ。大人の色気を余すことなく漂わせて、なのに余裕のない熱い吐息を落とす。欲情して、破裂しそうな身体と激しく音を立てる心臓。

小さな悲鳴にも似た声が喉の奥から飛んで出てくるのも、まるで自分じゃないよう。

こんなに色欲に塗れた空気は、感じたことがない。幼い衝動と欲求はあれど、息が詰まるような重い色と熱に魘されるみたいな感覚は、快楽を超えた痛覚。

イっても、まだ見えぬその先があって、それが私を襲う。こんなに怖いのに、もうこんなに気持ちいいのにーー


「ほら、もっと善がって」

「ぁああっ……ゃ、いいっ……ぁん」


ひとつになる。
繋がって、何度も何度も互いの存在を知らしめるみたいに。

ナカが熱い。身体が熱い。
下腹部がジンジンする。
ナカだけではイけない体質だと思ってたのに……。


「ぁ、あ、やだ……イきそ、」

ぐちゅぐちゅと厭らしい音が耳の奥に飛びこんでくる。自分の体液に興奮するくらいおかしい。

「ゃなせ、それ……っ、やだぁっ」


腰を押し付けたまま私のナカを掻き回す。入ってきたときより、もっと硬くて大きくなってる気がする……何度もイイところに当たって。


「っ、は」

「…っなせ、私もう……っイっちゃ、う」


じゅくじゅくになってしまったそこが疼いて、イく寸前まで押し寄せてきた。もう耐えられない。


「いいよ、ほら、」

一層深く沈み込んできて、奥で私が柳瀬を捕らえて離さないみたいに……っ。

「っぁああっっッ!」

「っ、う」

柳瀬は額から汗を垂らし、少し潤んだその瞳を閉じて長い睫毛を震わせる。







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