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《愛撫の先に…②》
第5章 占いのままに
噴水に片足、後ろに下がるともう片足が浸かりヒールのひくめなパンプス・ストッキングに濡れる・冷たさという不快さが菜々美の思考をストップさせるかのよう。

だが彼女は頼まれたというたまごホリックからの経緯に不気味さがあり、逃げないとという一心で噴水を左へと移動し足首までの水面から出る。

『誰か、誰か助けてくださいっ!この人にあたしは…』
菜々美は水分を吸ったパンプスを脱ぎ捨て構内へ走り始めたが路面はストッキングでは痛くスエット男に腕を掴まれた。

『叫ぶとかさズルじゃね?誰か助けてくれるとか甘いんだよ』
スエット男はフンと鼻を鳴らした。

『助けてくれます、だって人がたくさんいますからっ…』
周りを行き交う観光客・家族連れを祈るような気持ちで菜々美は一瞬見渡し、スエット男を振り返ったのは一瞬でも隙を作りたくないからだ。

『いいから来いよっ』
半笑いが逆に不気味さをさそう。
駅から離れたとこへと再び行こうと彼女の腕に力を入れる。

嫌っっ!
どうにかして離れないと…

その時彼女の腕くらいの背丈の幼児2人がはしゃぎ2人の間の腕あたりをすり抜けた拍子にスエット男の力が一瞬緩む。
菜々美は腕を精一杯引いて振りほどき駅構内へと再び走り始め近くの女子トイレに逃げ込み鍵をかけた。

スエット男が菜々美を追いかけようにも2人の幼児が前方を走っていた為に思うように動けず男はイライラとジグザグに進む。
だからなのか菜々美には追いつけない。

『…っこのガキッ、邪魔だ、つの…あの女どこに行きやがったっ!!?』
スエット男はそう言いながら探しはじめる声が時々聞こえる為に菜々美は震えながらトイレの壁にもたれかかる。

小さな子供たちに感謝しなきゃ…
でも当分トイレを出られない…

『お客さん駅構内で大きな声を出されるのは他のお客さんに迷惑がかかりますので…』
駅員のようだ。

『…女が迷子になったから大声だしちゃ悪いかよっっ』
ふてくされている。

だんだん声が近ずいてくる?
お願い駅員さんあの男を止めて…

コンコンとドアをノックする音に菜々美はビクンッととびあがるように恐怖を感じて身をこわばらせた。

『…誰か入ってる?』
女の人の声。

諦めて他を使うようだ。

良かった…
だけどずっとここにはいられない…
どうするの?
そもそもこんな旅行立てなければ良かったのに…





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