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《愛撫の先に…②》
第7章 迷い…想い…
助手席にバスタオルを敷いた結城にうながされ奈々美はシートに座り申し訳なさそうに外をみていた。

たまごホリック・スエット男により飲み物、精液で汚された地面は結城が駅で借りたバケツにくんだ水で流され、破かれた衣服はごみ袋に入れその場所はきれいになっていく。

バケツを返しに5分後彼は息をきらしながら戻ってくる。

『乱闘騒ぎに巻き込まれたって言うと同情するような顔でバケツを貸してもらえました』
シートベルトをしながら結城はこの身なりでは同情されるのも仕方ないとでも思ったのか苦笑する。

『あの…夜のお仕事に遅れるとか…なんでそこまで?』
奈々美は上着で身体を隠しながらきく。

『駐車場も誰かが管理しているはずです、散らかった服・コーヒーやジュースの跡を掃除させてしまう事になる、俺はホテルマンとして誰かに押し付ける事など嫌なので……少しだけ任務に遅れますが出ないよりは出た方が気持ち的に楽だから』
そういうとアクセルを踏み加速させハンドルをきり左折させ悪夢の駅と駐車場から遠ざかる。

『ホテルマンとして……他人が汚したものも、壊したものも?』
奈々美は小学生みたいな質問をする。

『お客様ですから』
誇らしそうな笑み。

『そういえばいつもフロントにいない時にはホテルを見回って忙しそう…掃除を?』
何ヶ月前に何度かみた、そういう思い出すような顔つきの彼女。

『お客様が来ない時間は掃除も、壊れた備品を替えたり、いつもフロントにいるわけではありませんよ』
クスッと笑うのはホテルマンとしての自信からなる。

10分後高速に入りスピードはあげるがまもられた速度、夜19時で日曜日ともなると運輸トラック・自家用車の比率は同じくらいになり片側二車線をぬっていくハンドルさばきはほれぼれするようだ。

ライトに照らされた車のランプが連なりきれいで、まわりの木々も紅葉で見ごろ・時折針葉樹の緑とのコントラストに魅入る程だが、こんな週末でなければ楽しめていただろう。

『………奈々美?なんで泣く?』
高速を運転する彼は彼女のすすり泣く気配を察した。

『紅葉がきれいで…レイプされた後じゃ何も感じない事がつまらなくて……』
彼女はまた頬をぬらす。

『座席側のティシュを使ってくれていい、……レイプは君が悪いわけではないから』
レイプという単語に口元をひきしめる結城、つらいのは彼女ばかりではない。
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