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《愛撫の先に…②》
第8章 愛撫の先に…
『結城さんごめんなさい…助けてもらったのにこんな事言うなんてあたし…だけど…ずっと前から……』
奈々美は結城を見て涙ながらに謝る、だらりとさげていた両手をゆっくりとお腹の前で握りしめる指先は震えていた。

『ずっと前?翔子が君を苦しめていたのか?あいつに限って……』
彼は彼女から翔子の名前が出た時から驚きの表情をしていた、だが信頼するクラスメートに限りそんな事はありえないとでも言わんばかりに首をふる。

『……うぅ…、結城さんのそんなとこ…そんなとこだもん……』
次々と目元に涙がじわりと溢れてはツーッと頬を伝う。

『クラスメートをかばう事がいけないとでも?あらぬ疑いを君は俺にもっていたのか?翔子は俺の親友の妻、君も知っているだろう』
彼は何を疑うのかと考え考え喋っているようだ。

『結城さんからも中谷専務からもあなたと翔子さんがクラスメートで仲が良かったと…聞いているわ…その時からあの頃名前でしか知らない翔子さんには敵わないと…』
彼女の手に涙がポタポタ落ちてく。

『座ろうか』
彼はテーブルの淡いブルーのティッシュケースを手にし彼女へ差し出しベッドに座り隣を促した。

『隠していた事を話した後に隣になんて座れない…』
彼女はティッシュで涙を拭きケースをテーブルに置いて結城に背を向けたままドアの方に歩き出す。

『……っとに、君は俺に眠るなとでも言うつもりなのか?今3時…6時には起きて朝食に身支度、7時にはお客様のチェックアウト等フロントに俺はいなければならないというのに…君を送る為には5時には起きていなければならない……』
彼は立ち上がりため息をつく。

『お仕事……そうね、少しでも寝ていなくちゃ…』
彼女は膝を曲げて座りドアに寄りかかる。

『何をしている?』
ため息をつき彼は彼女の側までつかつかと歩いてく様は
怒りを我慢しているかのよう。

『………』
彼を見上げ、ひぃ、と声がでそうで彼女は口に手をあてがう。

『……怯えなくていい、俺はその辺のレイプ魔とは違う、添い寝…ただ眠るだけ』
彼はそう言い両手を彼女の脇の下にあてがい立たせ腕の中に囲い込むかのように背中ウエストに手をやり奈々美を軽く抱きしめた。

ドア近くで眠るつもりだった彼女は彼の行動に驚きたじろぎ目を見開いた。

離して…
あんな告白をした後で結城さんに触れる事等やましくて…
だけど優しい手…
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