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《愛撫の先に…②》
第8章 愛撫の先に…
結城と頭ひとつぶん背丈が違う為奈々美はバスローブに隠れた彼の胸板に顔をうずめる事になる、彼のシトラス系のボディーソープの匂いと彼特有の清潔そうな甘い香りが彼女の迷いを揺さぶる。

抱きしめたまま器用にターンし向きを変えた結城が彼女をベッドへといざなう。

結城がベッドに寝転び奈々美も同様に寝転ぶ。
3時というわずか数時間しか眠れない事に相手の事を思い彼女は彼の行動に従った。

『今寝てしまうと遅刻は確定だから俺はもう眠れない、君は3時間だけでも眠りなさい、起こしてあげますから』
優しく微笑む。

『結城さんが寝ないなんて悪くてあたしも眠らない』
あくびを我慢し唇を噛む。
すると男達に噛まれ吸われた唇に痛みを感じ彼女は顔をしかめる。

『酷い唇だ、何も考えないで寝ないと肌の美容に悪いですよ、女性なんだから』
彼はつまらない事を考えないでとにかく休めという考えだろうか、唇を噛み男達から受けた仕打ちの痛みを彼女自身唇を噛む事で痛みもう一度…というのを見てのセリフだ。

『酷い唇………明日はマスクかしら…』
彼女はシャワーを浴びた時に身体の隅々まで擦り傷だらけ痣だらけだと気がついていた、髪を乾かす時には鏡に映る様にこんな顔で会社に行きたくないと思った事。

『首にはキスマークですよ…』
哀れだとでもいうかのように彼は彼女の髪の毛を撫でた。

『なんて言われるかしら…マスクにスカーフで隠しても1日じゃ消えないもの…』
彼女は横を向いた。

陽子ならきっと何も言わないで抱きしめてくれる…
あたしがレイプされる度に陽子は側に居てくれた…
ただ会社には陽子だけじゃないもの…
大勢の社員に変な目で観られるのは嫌…
身体に制服を身につけていても顔や首すじでばれてしまうもの…
まるで晒し者のようにコソコソ言われそうな…

『奈々美怯えなくていい、俺と戯れていたとでも言い訳すればそれで済む』
彼は彼女の横顔のうかない表情を観て言った。

『ううん…結城さんのエッチがこんな風だなんて会社のみんなに勘違いされたくないの…だから何を言われても黙ってる…』
彼女は言いながら眠そうな顔をする。

『君って娘は……』
彼はふっと笑う、それは愛しさから。

奈々美は目を閉じ、5分もするとすうすうと寝息をたて始める。
それを確認した結城は彼女を横にし仰向け寝にさせ布団をかけ彼女の首すじをそっと撫でていた。
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