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《愛撫の先に…②》
第8章 わだかまり…
『…そんな風に話をしめるなんてずるいっ……』
拗ねてふくれたような顔で結城を見る奈々美。

『翔子は将也の妻ですから、笑うなというのは無理だと思いますから、仕方ない事だと…俺は仕事に穴を開けたことがなかった…どんな理由でも…だがジムの帰り家に寄って見ると寝室の窓1枚だけ違っていて異様な胸騒ぎがした…そこに聡兄からの電話…俺は仕事よりも君を探す事を選んだ…それではいけませんか?』
結城も奈々美を見た。

『ずるい…そんなの…ずるい…』
彼女はまた泣きだした。

あたしが業者に頼んで替えてもらった窓ガラスだけでたまごホリックの人が絡んでいると思うなんて…
あたしの為に仕事に穴を?

『頼んだドレスの店に感謝しなさい、いくら君に電話しても出ないからと俺にもう一度連絡がきていた』
手をトントンと太ももにあてる。

『お店から?そういえば知らない電話番号が…ムーンなんとかっていう…』
彼女は彼の言う事と物事を繋ぎ合わせるのに精一杯だ。

『君のドレスだから君に取りに行かせてもいいだろうって店に電話番号を教えていた…ブラだけの君の身体を採寸しただろう、1枚しかない特注ドレスをあげようと…だがそれも一瞬でゴミくずとなって……』
ため息をつく。

『……そうだったの…』
彼女は残念そうに肩を震わせ悔しくて仕方ない様子。

『レイプ魔が君を裸にしていたからね…仕方ない事だと…』
数日前を思い出し彼も悔しそうだ。

『あたしがあの男に掴まったから…たまごホリックに掴まったから…占い旅行に行ったから…ごめんなさい…』
涙がバスローブを濡らす。

『もう一度特注すればいい話です、君が謝る事はない…これで俺を許してくれるだろうか?』
彼は彼女をみて手を握った。
その表情に嘘はなかった。

『…翔子さんの事もうあまり嬉しそうな顔をしないでくれる?』
上目遣いをする。

『…脅迫ですか?あまりしたくないけど奈々美が頼むなら……』
彼は笑う。

『しぶしぶなんてっ…』
彼女は拗ねる。

『そんなわけない、努力します』
また笑う。

時刻は深夜2時をさし彼は彼女を促しベッドへと入った。

放課後一緒に勉強し遊んだ仲間だったのなら電話にも笑顔になるのは仕方ないのかもしれない…
結城さんが助けに来てくれた事で結城さんへは気持ちを前向きにしてもいいのかもしれない…
破かれたドレスあたし見ていない……


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