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《愛撫の先に…②》
第10章 結城と奈々美
白い家がペンキなしの元通りの外観になり売り物件という看板が目立つ正面にたてられたのは契約解消から2日たった日になる。

これでこの家は誰のものでもなくなり次の契約者を待つばかりとなった。

その光景を昼間から不思議そうにみていたのはたまごホリックの男。
『売り物件……?』

元通りきれいになった外観に首をひねり眉間にしわを寄せる。
『…売り物件…?』

その時部屋を見に来た夫婦が車から降りてきてたまごホリックの方に近づいていて、うやうやしく不動産の男性が家の鍵を開ける。

『ちょっと待ったっ……この家は…この家は俺と奈々美の物なんだけどおっさん勝手に入んなよ…それにあのメッセージはどうした!?』
今にも不動産の男性に飛びかからんばかりに前に出る。

『……あんた誰ですか?困るな昼間っから働きもしないでフラフラと商談を邪魔しないでくれんかな?』
中年男性は相手を睨んだ。

『…だからこの家は俺と奈々美のだから勝手に売るなっつーの』
たまごホリックはおっさんの胸ぐらを掴んだ。

『わけのわからない事を言われても困るんだけど…この家の契約は解消されているんです、帰った帰った』
追い払うように手を振り進行方向へと手をひらひらさせた。

『確かこの家は誰もいないとさっき言いましたよね』
夫婦の男性がいう。

『そうですよ、2日前に正式に白紙になっていますので、若いものの言う事に構わないで中に入りましょう』
にこやかに話す不動産の男性はドアを開け夫婦に手招きする。

たまごホリックを避けるようにぐるっと円をかくように進みそそくさと家の中に入っていく夫婦。

『…ちょっとっ』
納得のいかないたまごホリックはドアを蹴り売り物件という看板を引き抜こうとしていたがその看板はびくともしなかった。

その時バンとドアが開き不動産の男性がイライラと忠告する。
『何処の誰だか知らないが家を蹴る等という行為はいけない事だと親御さんに言わないといけないが浪人生が悪い事したら就職に困るぞあんた?何処に住んでる?』
鍵をポケットに入れジャラジャラいわせている。

親を呼ぶ=幼くみえる・浪人生=ジャージにつっかけという風貌からチャラチャラした身なりにみえたからだ。
『…なっ、おっさんっ』

『邪魔せんでくれんかな、これ以上グダグダ言うなら親御さんの元に向かうがね』
不動産の男性はイライラを隠さず言った。
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