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君を好きにならない
第9章 別れ


あの日は
省吾も俺も
気持ちよくワインを飲んで
酔っぱらって
昔の話や女の話をしていた


省吾も上機嫌で
俺と肩を組んだりしながら
楽しそうにしていた


「そういえば
司、ずっと女いねーな?」


「そうだなー」


「あーだから最近
AV増えてんのか?」


「いいだろ、ほっとけ
お前だって使ってるクセに」


カモフラージュも
完璧だった


「まぁな(笑)
あれはいいよな
『素人シリーズ』」


そうやって
イタズラな表情で
人懐っこく笑う省吾が
好きだった


「司が
より好みしてんじゃねーの?
お前、モテそうなのにさ」


「モテねーよ(笑)」


「そうか?
高校の時からそーだったけど
司は頼りになるし
見た目も悪くねーのに」


「お前に褒められてもなー(笑)
てかさ
省吾が女作り過ぎなんだよ。
とっかえひっかえで
長続き全然しねーし。
ヤルために付き合ってんのかよ」


「あーそれなー(笑)
別にそーゆー訳じゃないんだけどさ
なんか収まり悪いってゆーか…
いいなーと思って
付き合うんだけど
付き合ってみたら
なーんか違うんだよなー。

司みたいに
気が利いて頼りになって
気も使わないで楽しくて
なんでも話せる女
いねーかなー」


えっ…


「な、何言ってんだよお前」


正直動揺した

仮の話だとしても
省吾から
そんな言葉を聞いたのは
はじめてだった




「俺、司みたいなのが
タイプかもな(笑)」


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