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君を好きにならない
第13章 追跡
エレベーターが開くと
マサシは先に乗り込み
俺が乗るのを確認して
ドアを閉めた
「俺…
ほんとは
司さんを部屋に入れたかった。
できれば
泊まって欲しかったし
正直
今なら司さんを
自分のものに
できるかもしれないって
思いました」
そこでエレベーターが
5階に到着し
マサシは
俺に先に降りるよう
促した
エレベーターを降りると
俺の部屋が
何合室か分からないマサシの為に
俺は先を歩き
マサシは
静かに俺の後を歩いた
「ここなんだ」
部屋の前でマサシにそう伝え
玄関の鍵を開けて
ドアノブを回し
俺は
10センチほどドアを開いて
マサシに視線を合わせた
「入るか?」
「いえ」
「………」
「司さんが最低なんかじゃなく
最低なのは
俺なんです。
司さんが
弱ってるのに
今日アパートに来てくれた時
内心喜んで
このままどうにか
ならないかな…とか思って…」
「じゃあどうして」
「そう思ってたのに
今日司さんを
俺の部屋に入れなかったのは…
今の司さんは
また
俺のこと
真琴って
呼ぶんだろうなって
思ったからです。
それ
結構辛いんで…」
マサシは
そう言うと
作り笑いを浮かべながら
口元を
手の甲で隠した
俺が
マサシのことを
真琴と呼び間違えたことが
あったんだろう…
俺にそんな記憶はないが
知らないうちに
マサシを
傷つけてたんだな…
「じゃあ…
やっぱり俺が最低だな」
そう言うと
マサシは
目尻を下げて
表情をゆるめた
「司さん
話したいことあるから
やっぱり玄関の中にだけ
入ってもいいですか?
あんまり
人に聞かれたくない
話もあるから…」