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君を好きにならない
第19章 最終章
それから一時間ほど経ち
真琴がほろ酔いになった頃だった
「いらっしゃーい」
オネェのその言葉で
ふと店の入り口に目をやると
マサシと岸本が
店に入ってきた
少し酔ってるのか
革ジャンを着た岸本は
スーツのマサシの
肩を抱き
楽しそうにしていた
「あっ…」
マサシが俺に気づいて
俺たちの近くで立ち止まると
「あっ…」
真琴も気がついて
席を立った
肩を抱かれたままのマサシと
突っ立ったままの真琴
初めて見る真琴を
じっと見つめる岸本
そして、俺
4人の間に
微妙な空気が流れると
クスッ…
誰からともなく
クスクスと
笑いが起きはじめた
取り分け
俺とマサシがクスクスと笑うと
岸本も真琴も
頰を緩めて笑いはじめた
すると
その時
突然岸本が
マサシの顎を持ち上げ
俺たちの目の前で
マサシに
ディープなキスをした
「っん…」
そして
キスが終わると
ニカッと笑って
真琴にVサインをして見せた
マサシは
照れ隠しなのか
慌てて口元に手をやったが
俺は相変わらずなマサシの癖が
微笑ましかった
「僕達もするの?」
真琴は
何かの儀式かと思ったのか
俺にそんなことを
聞いてきたが
「岸本は
お前を安心させるために
やって見せただけだ。
しなくていーよ(笑)」
「そ、そっか(笑)」
「マサシ
じゃなかったな(笑)
ショーキ、仲良くて何よりだな」
「あ、はい。
司さんも」
「おぉ。
これからは
真琴もたまに来るかもしれねーから
よろしくな?」
「あ、はい」
「じゃ…また」
「じゃ、また」
「真琴、俺たちは
そろそろ帰るか?」
「う、うん」