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君を好きにならない
第4章 触ってみてもらえますか?

真琴の左斜め後ろ

もう少しで
身体が触れそうな距離に立ったまま

俺は

グラスを握る真琴の左手に
そっと触れた


真琴からの
リアクションはない


『もっと近づいて下さい』


そう言ってくれ


そう思いながら
俺より背の高い真琴の顔を覗き見ると
真琴は真剣な目で
触れた俺の右手をじっと見ていた


すると真琴が
俺の方に突然振り向き

真顔のまま

「振り向いたら近いっすね」

そう言って
また
視線を戻した



ダメだ



心臓に悪い



なんなんだこれ。



しかも
背の高い真琴に
見下ろされることに
妙な興奮を感じる



「向井さん」


「・・ん?」


「もうちょっとだけ近づいてみて下さい」


「あ、あぁ・・」


一歩どころか
5センチほど身体を寄せると
俺の胸元は真琴の腕や背中に触れ
肩には顎が当たりそうだ


このまま
真琴が振り向いたら
マジで・・・キス・・


流しにこのまま身体を押し付け
手が濡れてて
抵抗できない真琴にキスをしたい

背の高いお前の首に
腕を回し
されてるような
しているような

そんなキスができたら・・


「あ~・・さすがにちょっと・・」


「え?」


「さすがに近いっすね(笑)
この距離は満員電車です。
乗ったことないんですけど(笑)」


その言葉に反応した俺は
すぐに真琴から身体をはなした


「あ、そ、そーだよな」


「あ、向井さん
離れないでくださいよ」


「え?」


「さっきのよりもっと
身体押し付けてもらえますか?
あ、そうだ
両腕回して僕をこう・・
後ろから抱きしめる感じで・・」

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