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New year
第1章 餅つき
翌日にはサチが炊いたぜんざいを持ってきてくれて、皆で食べる。
るいと娘のサヨの分を鍋に入れ、市八がそれを持って鷺が家に帰るのに併せて一緒について行き、市八はそのまま鷺とサヨと一緒にるいの店で晩飯を食べ、程よい頃に八尋が迎えに来て帰っていった。
そして大晦日にはるいの店で、皆に年越し蕎麦を振る舞う約束も交わす。
そうやって何くれとなく行き来しながら、かつての仲間たちは今年も無事に年を越す。
その昔、盗賊として世間を騒がせたことなど誰も知らず。
解散した後に添った鷺の妻のるいでさえ、鷺が噂に名高い陽炎の一味であったことを知らぬ。
隠しているわけではないが、めくらの鷺が盗賊だったなど、誰も信じない。
市九郎の人となりや、陽炎がそんな集団であったことなど、世間は知らぬからだ。
元々悪どいことを好む者たちでもないから、静かに過ごせるならそれに越したことはない。
天のみが全てを知り、何も語らず、今年も民の元に新しい年を運んでくる。
白い雪とともに….…
るいと娘のサヨの分を鍋に入れ、市八がそれを持って鷺が家に帰るのに併せて一緒について行き、市八はそのまま鷺とサヨと一緒にるいの店で晩飯を食べ、程よい頃に八尋が迎えに来て帰っていった。
そして大晦日にはるいの店で、皆に年越し蕎麦を振る舞う約束も交わす。
そうやって何くれとなく行き来しながら、かつての仲間たちは今年も無事に年を越す。
その昔、盗賊として世間を騒がせたことなど誰も知らず。
解散した後に添った鷺の妻のるいでさえ、鷺が噂に名高い陽炎の一味であったことを知らぬ。
隠しているわけではないが、めくらの鷺が盗賊だったなど、誰も信じない。
市九郎の人となりや、陽炎がそんな集団であったことなど、世間は知らぬからだ。
元々悪どいことを好む者たちでもないから、静かに過ごせるならそれに越したことはない。
天のみが全てを知り、何も語らず、今年も民の元に新しい年を運んでくる。
白い雪とともに….…