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嫌いじゃなかったの!?
第6章 5ページ目。
私達は服装を整えて個室から出た
未だトイレではあるものの、外の空気は個室のむせかえった情欲の香りよりも爽やかに思える
私は鏡で乱れた衣類と髪を整え直す
しかしここは男子トイレ。
悠長にそんなことをしている場合ではない
「さ、佐伯さん先に戻ってますね!」
しかも私は先程まで乱れてよがってしまっていたのだ
この男、佐伯さんに。
早くここを立ち去りたい!
あの記憶を消してしまいたい!
なんであんなことしたの私〜!!!
そう思って足早に立ち去ろうとするとまた後ろから抱きすくめられた
「さ、佐伯さん?!」
私が驚いて声を上げると
「感情的になってしまって、あんなことしてしまってすみません。怖かったと思います。でも僕も初めての気持ちだったので、どう処理していいのかわからなくて」
悲しげな声が私の耳に届く
「でも、ほんとにあなたの事を離したくないんです。」
私は、未だ佐伯さんの気持ちに答えられないことに申し訳なくおもえてくる
でも、そんな同情めいた気持ちで好きになられたって嬉しくないだろうし、その気持ちは長く続かないだろう
でも私は佐伯さんに特別な気持ちを抱いているのは確かだった
しかしそれは、初めて、レイプ以外で抱かれた男だからなのか
好きな人だからなのか
それは私にもわからなかった
なんせ私は恋なんてものをしたことがないのだから
「もう会社でこういうことするのはやめてくださいね。ま、まぁ、私も同罪なので今回は責めません」
私は熱くなった頰を隠しながらそう言った