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嫌いじゃなかったの!?
第7章 6ページ目。




名前を呼ばれたかった。


私の名前を


佐伯さんは嬉しそうに微笑んで


「ありがとう。これで寂しくない。杏子」


そういって、私の名前を大切そうに呼んだ


誰に呼ばれるよりもそれが私には嬉しかった


「これから2人でいるときはそうやって呼び合おう?凌と杏子。恋人みたいだけど」


異論はなかった、佐伯さんの中の特別になれたようで嬉しかった


「はい。じゃあ帰りますね。しっかり寝てなきゃダメですよ?」


そういうと佐伯さんは不機嫌そうな顔をして


「俺の名前呼んでよ」


そう言うものだから、そんな顔が可愛いから


「凌…?」


「よがるときあんなに俺の名前呼ぶのに、今更恥ずかしがるとか」


そう言って佐伯さんは喉で笑った


「もう!からかわないでくださいよ!」




少しの間2人で笑いあって



「じゃあね……凌」


そういうと、凌は少しびっくりした顔をしてから嬉しそうに笑って


「うん、また、明後日だね。杏子」


そう言った



私はカバンを持って後ろ髪引かれる思いで寝室を出て、すっかり暗くなった帰り道を歩く


もう時刻は20時


蓮がお腹を空かせて待っているだろう



だが今はそんなことも忘れるくらいに、胸が踊っていた


楽しくて仕方なかった


嗚呼、私。


いつのまにか






凌に恋をしてしまっていたようだ







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