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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。
その度に何度も言い聞かせた。
『私は蓮が好き』
そして、蓮の隣で眠った。
蓮の香りに包まれて、暖かさに包まれて眠った。
最初は戸惑っていた蓮だったけど、少し悲しげな顔をして迎え入れてくれた。
これは、口で言うことができないから態度で表そうとしているのかもしれない。
いつも蓮の腕の中で見る夢は決まっていて、男性に手を引かれて冬のイルミネーションを見ている光景だった。
でも、その男性は誰だかわからない。
そして涙を流しながら目を覚ます。
何が悲しいわけでもない。ただ涙が出ていた。
悲しくないはずなのに、胸が痛かった。
夢の中に、ずっと浸っていたくて、現実に戻されて、どこか寂しくなることがあった。
私は、変わらない生活、物、人を選んだんだ。
9年間変わらない、そんな安寧を。
蓮の人間関係の邪魔になるからと、何度も身を引こうとしたのに、いざとなると、体が動かなくなる。
変わらないものを選んでしまう。
私は私が嫌いだ。