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嫌いじゃなかったの!?
第10章 9ページ目。
「おかえり」
私がリビングに入るとすでに帰っている蓮が笑顔でそう言う
優しい笑顔だ。
「お腹すいてない?」
「あぁ、大丈夫。俺が買い物しといたからそれで適当に作って」
「ありがとう、わかった。」
そう言って私は早速夕飯の準備に取り掛かる。
黒いマイエプロンをつけて、とりあえずは冷蔵庫の中身を見る。
うん、肉じゃがと、キャベツの味噌汁と、白いご飯が今日のメニューかな。
キャベツの味噌汁は私のお母さんが作ってくれて、結構美味しいのだ。
お味噌汁なのに食べ応えがあって、若干残っているキャベツの歯ごたえがたまらない。
味噌とキャベツって意外と合う。
私は野菜室からジャガイモとキャベツと人参を取り出してシンクに転がす
この野菜たちは田舎の家族が送ってくれるから、スーパーで野菜を買うことは少ないのだ。
最近の私の楽しみは料理だった。
何も考えなくてもいいから。
というよりも、集中しすぎて考える暇もなくなるから。
今日もいつも通り無心で料理をしていた
だから気づかなかった
蓮が私の背後に立ったことを
肉じゃがを作っていた時だった
突然ふわりと蓮の匂いがして、そして、蓮のたくましい腕に背後から抱きとめられた
「!?」
私はとっさに身を縮こませて、体の芯から震えが来た
この震えの正体を知っている
「恐怖」だ。
私が苦手な、「異性からの接触」だ。