この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
嫌いじゃなかったの!?
第12章 11
「寂しくなるね」
「そうだな」
私と蓮は、物が少なくなった部屋を見まわして言った。
本当に寂しくなる。
もういつでも会えないと思うと。
でも後悔はしてない。
人間いつかは離れないといけない時が来る。
永遠の別れでないことが唯一の救いだ。
「後半月は一人で住むんだろ?怖がるんじゃねぇぞ?」
「幽霊とか怖いのどちらかというと蓮のほうじゃん!」
「ちげぇよ!」
そう言って私達は笑い合った
寂しさを紛らわすように
今日は蓮の旅立ちの日だった
地元行きの飛行機はお昼に出る
だからすでに蓮の荷物は実家についているわけだ
残すは私の荷物のみ
それも段ボールに詰められている
半月後には引っ越さないといけないからだ
なのに未だに決めていない
私としたことが、すっかり忘れていたわけだ
ワンルームとかでも構わないから、ここら辺でいいところがないかな…
そんなことを考えていると玄関から蓮の声がした
「おーい!もう出るぞー」
時計を見るとちょうど良い時間だった
私は返事をしてからカバンを持って家を出る
鍵を閉めて蓮のほうを見るとなかなかに不甲斐ない顔をしていた
でも私はそれを見なかったふりをして「早く行くよ」と声をかけた
蓮としてもそれが楽なのはわかっていたからだ