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嫌いじゃなかったの!?
第13章 12
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いろいろあった8月が終わって、9月になった。
今年は各地で猛暑をふるった太陽様はまだおやすみになられる様子はない。暑い。
8月中は蓮と住んでいたマンションに住んでいたが、9月から凌とあの高級マンションに住むことになっている
まとめた荷物はもう凌の部屋に運び込まれていて、私は大家さんに挨拶して後から行くことになっていた
9年間、そんなに大家さんと話したことはなかったけど、思い出の家と離れることに少し寂しさを覚えて、話してるうちにセンチメンタルな気分になってしまった
大家さんに別れを告げて凌のマンションまでは歩いて向かう。
ほんとにすぐそこにある
部屋の番号は702
この番号もゆくゆく私の馴染みある番号になるのだ
そう思うと、というか、これからの生活を思うと不安半分と期待半分でなんだか不思議な気持ちだ
鍵はもうもらっていたのでそれでマンションに入る。
ほんとに凌の家族に何も言わずに一緒に住んでいいのかな?とか、というかほんとに同棲してもいいのかな?とか。
そんな心残りはまだたくさんあるけれど、ここは、試しに、気にしないことにする。
エレベーターで7階に上がり、部屋まで行く。
私が来るとわかっているので扉は開いていた。
お邪魔します、と帰りました。
どちらを言おうか迷ったので、
「こんにちわー」
と言ってみた。
すると、呆れた顔をした凌が出てきて
「帰りました、だろ?」
と言って優しく笑った。
ああ、こんなことさえも幸せだ。