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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
 

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 ぽかぽかと暖かいあたしの抱き枕。

 しっとりと汗ばんで心地よい堅さ。
 良い匂いがして、落ち着くんだ。

 あれ? あたし抱き枕なんか買ったっけ?
 買ったんだな、だってあるんだから……と、さらにぎゅっと抱きついた。

 だが、やけにとくとくとうるさい音がして。
 時計入りにしては、かなり早い秒針の気がする。

「なぁ……起きね?」

「まだ寝る」

「ん……寝顔は可愛いんだけど、そのせいもあって結構俺、辛いというか」

「……?」

「起きろって。なぁ……」

 どこか聞き覚えがある甘ったるい声のBGM。唇を奪われ、舌が絡められ、身体も気持ちよく目を開けると、こちらを見ている早瀬がいた。

「おはよう」

 間近で細められるダークブルーの瞳は、朝日を浴びていつもより透き通った青色に見える。

 端正な顔。
 泣きぼくろがある麗しの王子様。

 本当に早瀬は綺麗だな。
 お肌なんてすべすべだし、羨ましい限り。

 そう思いながら、またうとうととしてしまうあたしは、突如鼻を指で摘ままれた。

「もう起きてくんね?」

「ん……」

「いつもは俺を置いてさっさと帰るのに、どうして抱かねぇと決めた時に限ってこんなにくっついてくるのかな……。俺の理性、神レベルに思ってる?」

 ぶちぶちとうるさいなと、あたしはまた重い瞼を上げる。

 早瀬だ。

 ……なぜ早瀬?
 
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