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エリュシオンでささやいて
第5章 Haunting Voice
「お目覚めか、眠り姫」
「……ここどこ……?」
「横浜。ランドマークタワーの中のホテルの一室」
そういえばあたし、横浜に来て……。
「……っ!!」
思い出したあたしは、早瀬の腕枕されながら、抱き枕のように早瀬に抱きつき、足を絡ませ合っているという醜態を晒していたというWパンチに、寝たふりをした。
「ぐー」
寝返りを打つふりをして、頭を反対側にむけ、ずるずると早瀬の腕から頭を落として……。
「……おいこら、完璧覚醒状態で、遠ざかるな」
頬を抓られ、鼻を摘ままれ、その上に、腕からずり落としたあたしの頭をきっちりと、元あった腕の位置より、より彼の顔の近くの肩付近にまで乗せられた挙げ句、その手であたしの後頭部を固定までされ、最早寝たふりも本当に寝ることも出来なくなった。
「………」
「……目をそらすな」
気怠げな感じの早瀬の色香と匂いに鼻血吹きそうなのよ。
いつもは早瀬は寝ていたし、あたしは悪夢に飛び起きて朝早くに帰っていたから、こんなに見つめられることもなくて。
なんで今日は悪夢を見て飛び起きなかったんだろう!
目覚め一番、これは辛い。
一体なんのプレイ!?
あたし、寝ていたよね?
悪戯されてないよね?
しないって言ってたよね?
パンツはいてないけど、大丈夫だよね!?
おたおたとしているあたしは、こちらをじっと見ている早瀬と目が合った。
「ひっ」
思わず短い悲鳴を上げたら、早瀬は片眉を跳ねあげた。
「失礼な奴だな。ひとをレイプ魔のように。なにもしてねぇって」
「本当になにも? 寝ている間におイタはなしね?」
上目遣いで早瀬を見ると、早瀬の目許がほんのりと赤く染まり、恥じらうようにして視線が背けられた。
「……キスはしたけど」
してるじゃない!!