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エリュシオンでささやいて
第8章 Staying Voice
「駄目っ、そこ駄目っ、感じすぎちゃう、駄目っ」
「可愛いな……この女が、俺のを舐めるまで……愛してくれてるのかよ。ああ、それだけで……」
「須王、そこばかり駄目、駄目っ」
唇を貪り合うようにして、深く激しく繋がるあたし達。
気持ちよさと同じくらい、彼への愛おしさが募る。
「好き、好き、好き――っ」
「柚、俺の方が好きだ」
愛の告白のハーモニーの中、あたしの絶叫が喉から迸り、須王が苦しげな声を出して、あたしの胎内から彼自身を抜き出した。
頂きまで押し上がったあたしの身体は、ビクンビクンと痙攣しながら、喪失感に打ち震え、同時に……尻に掛けられた熱い迸りがもどかしくて。
いつもはゴムで隔てられているそれが、今度は隔てるものがないというのに、あたしの中ではなく皮膚の上だということが、いつも以上に距離を感じた。
「赤ちゃん……欲しかった……」
甘い息の中で、思わずそう呟けば、彼はあたしの頭の上にキスをしながら言った。
「ん……俺も。深いところで繋がって、お前の身体に俺の証を刻みてぇな」
「だったら、どうして」
「……どうしてだろうな」
その後、彼のキスはやまなかった。
俺の子供を産んでと言っていたのに、彼はその行為をしなかった。
外で吐精したからといって、避妊率が100%ではないことはわかっているし、今日があたしの安全日ではないこともわかっている。
だけど悲しいかな、あたしは彼の種を宿した予感はしなかった。
また擦り抜けた。
彼を繋ぎ止めるものが――。