この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
エリュシオンでささやいて
第11章 Darkness Voice
 

 棗くんは笑いながら言った。

「案外、医師免許持っていない連中かもよ?」

「そんな連中が、遥の身体を切って血しぶきを飛ばしているのかよ。それに棗姉さん、ひとの記憶はそんなに簡単に……あ」

 あたし達は今し方、宮武の記憶が曖昧だという場面を見てきたのだ。

「そう。そして裕貴達宮田一家とこの病棟……とりわけ遥の病室内のもので共通するものといえば……AOP。柘榴の香り」

 柘榴――。
 血を消す以外に、記憶も変えることが出来るというのなら。

「そういうものがなければ、まず別の医療チームが頻繁に別の病院の患者を診察したりはしない。まずは自分の病院に連れるでしょう。しかしあの病院でなければいけなかった。外部医療チームが出入りしなければならなかった。それを思うなら、やはりエレベーターが残っているだろうあの部屋にいる遥が、重要になってくると思う」

「だったら、遥くんが外出していることを、黙認しているということ?」

「今はなんとも言えないけれど、頻繁にあいつらが出入りして遥の身体に触れているのなら、知らないはずはないと思うわ。もし遥がHARUKAで自由に外で動き回っているのなら、だけれど」

 あの部屋で一体なにが行われているのだろう。
 遥くんはなにをされているのだろう。

 結局知ることは出来なかった。
 わかったのは――。

 忍月コーポレーション副社長である理事長が、坪内医師経由であの特別室を使わせる患者を入院させ、外部の医療チームを遣わせているということ。
 そしてその患者は皆、亡くなっているということ。

 もしも遥くんも、理事長があの特別室を使わせようとしたのだとしたら、それを遥くんと須王のお母さんは、わかっていたのだろうか。
 理事長から、遥くんの〝実験費〟で生活しているのだろうか。

 だとしたら、理事長はあの特別室の患者を使って、一体なにをさせているのだろう。坪内医師……というよりは、あのいけすかない医師を始めとした、外部医療チームに。

――……となれば、遥が提供者(ドナー)の可能性が高いか。
  
「忍月栄一郎……」

 須王が、唸るようにしてその名前を呟いた。


/1002ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ