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エリュシオンでささやいて
第13章 Moving Voice
 

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 目が覚めると、カーテンのなされていない窓は朝日の光を差し込んでいた。

 ぽかぽかと温かいのは、暖房でも入れて寝ちゃったんだっけ……などとぼんやりする頭で考えるあたしは、須王の胸の中に顔を埋め、足と足を絡めてしっかりと須王を抱き枕にしていた現実を悟る。

 須王は目を瞑って、規則正しい寝息をたてている。

 長い睫と共に美しさを際立たせる、目許の泣きぼくろ。
 陽光によって青さを煌めかす、ダークブルーの髪先。

 滑らかな肌。
 隆起ある筋肉。

 ベリームスクの匂いに包まれながら、この美貌の男に散々愛されたあれやこれを思い出して赤面する。

 まだ下腹部になにか大きいものが入って息づいている気さえする。
 どれだけ彼に繋がれて、その大きすぎる官能の波に溺れて、果ててしまっていたのだろう。

 ふと、あたしの目に、床に散らばる封が切られた避妊具の包みが点在しているのが映る。
 その中身も放られているのだろうかと、恐る恐る床を見渡して見ると、ぽかりと後頭部が叩かれた。

「お前……おはようのキスとかねぇわけ?」

 不機嫌そうに片目を開いている須王だった。

「起きてたの!? えっち!!」

「今さらじゃねぇか? お前と会って、どれだけのことを俺、お前にしてきたよ」

「……っ」

「俺の舌と指で、触ってねぇのはねぇくらいに、俺の身体に慣れてるだろう、お前。ああ、ひとつあったな、舐めても触ってもねぇところ」

 須王はにやりと笑い、あたしを引き寄せて耳元に囁いた。

「後の穴」
「なっ」

 そしてもぞもぞと手を動かして、あたしの尻たぶを揉む。

「いい?」

「駄目!」

 あたしは断固拒否!
 
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