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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第12章 虚偽と真実
"コツコツコツ‥‥"
大理石の床に、歩く音だけが響き渡る・・・
(何年振りだろうか‥‥)
あの連絡から直ぐに此処‥‥本宅へと車をかっ飛ばした。
どうやら祖父は倒れたらしいが、様態がそこまで悪い訳では無く‥
とは言え、暫くの自宅療養は必要と、こちらに来てから執事から話を聞いた。
急ぐ必要も無いと、私が向かったのは2階‥
そう‥父と私が暮らしていた居住空間。
"ガチャ・・・"
10年振りに見る私の自室・・
「・・・あの頃の・・・まま・・・」
祖父と言い争って、本宅を出た時そのままの状態、細かい物1つ動かした形跡も無い。
かといって、掃除は完全に行き届いているのを見ると、動かすのを許さなかった‥‥それは父が??
「・・懐かしいものだ・・・」
18年暮らした場所だ、愛着が無い訳では無い‥
デスクも端末も、奥の部屋のベッドも‥‥
元来物を多く置く主義では無いので、部屋の中はシンプル‥
それに此処を出る時に、必要の無い物は全て処分したから、本当に最低限の物しかないのだが‥‥
「・・・見る景色だけが変わらず・・・いや、木々は大きくなった‥か‥‥」
何時も見ていた庭の景色‥
10年も経てば、規則的に植えてある木々だって成長する。
不思議な落ち着き‥
本宅のこの自室が嫌いという訳でもない‥
子供の頃からずっと使っていたんだ、居心地は悪い筈もないのは当たり前。
「・・・
そういえば・・・」
父は‥私の絵を残してると‥‥
父の部屋‥‥か??
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