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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第14章 対立と供託



「会えば喧嘩越しだったのが嘘みたいだ‥」


「それを言われるとね‥
向こうだって喧嘩越しだったのだし、お互い様かな?
それに、病人を苛める趣味は無いよ私は‥‥」


「・・・
はっきり聞く、保って後どれくらいだ?」


「・・・・・
医者の判断では‥保って‥ひと月かふた月‥
早い進行では無いが、転移の数が多く、何時合併症を引き起こしても、おかしくは無い状態・・」


「そうか・・・
・・・・・流石にはっきり言われると・・・・・キツいな・・・・・」


「朔夜叔父・・・」


「お前以上に刃向かった俺だが、これでも親を思う気持ちくらいあるぞ・・・・・」


「それは‥‥当たり前の話‥‥」


私が父を亡くしたように、朔夜叔父叔父もまた‥



「俺にはまだ、困ったでも姉が居る‥
だが、紀永‥お前は本当に1人になるな・・」


「私はもう諦めている、家族運は無いと‥
仕方が無いね、この年まで何人失って来たか‥‥
これも私なんだろう」


「損な役回り‥
そういう俺も随分失ったか、家族運が無いのは、さして変わらん」


「・・・
父辺りで、もう構わない事にした‥
失った者は戻っては来ない、考えても空回り‥十分に理解はしている」


「30手前で老けた発想だ‥」


「余計なお世話だと思うけどね‥」


まだ28‥そろそろ29か‥
私自身も老けた発想だと思うが、人には言われたくない・・・・・





朔夜叔父は、近く本宅に行くと言い残して、社長室を出て言った‥
叔父なりに、考えたい事もあるだろうから、止める気も無かった。



「・・1人‥‥か・・」


1人残され会長職‥
こんな結末を、誰が予想していただろうか?



「私が望んだ事だ‥
実体の無い謎の会長‥私は本宅でのんびり見る事にしようかね‥‥」


実績だけを残し、重役以外には極力姿を見せない‥
それが今の私には一番良い方法と、自分に言い聞かせて・・・・・


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