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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り



「今作っている商店街の店舗部分‥
アトリエにしようと思っている‥‥」


「アトリエ‥
またお描きになると?」


「ああ‥
父の遺言かな?
絵を描くのを止めないで欲しい‥それが倒れた父に会った時の、私に言った言葉‥
漸く余裕が出来たからね、少しやる気になってみたのだよ」


「・・・
そうでしたか‥
あの飾られいた絵には、そういう意味が‥‥」


遠藤は手を止めて、何かを考えているよう‥
父は遠藤に何かを言ったのだろうか??



「どうせなら一緒に描いて見るかい?」


「いえ‥‥
絵心の方は全くありません」


「ピアノは弾けたと思ったがね?」


「子供の頃の話です‥
学業に入ってからは全く‥‥」


「・・・・・はぁ‥」


やはりギリギリのところで、一線を引いてしまう‥
仕方無いと諦めるか、もう少し食い下がるか‥どうしたものか‥‥



(今の状態では、私も遠藤も辛いだけ‥
ならば‥‥)


少々ごり押しだが、今みたいな機会はあまり無い‥
この場に賭けてみようか‥‥



「遠藤‥‥いや伊織‥
真面目なのも良いが、もう少し柔軟性を持てないかい?」


「柔軟性‥‥」


この真面目なのは、遠藤の本来の性格‥
考一郎もこんな感じで、馬鹿が付く程の真面目振り、これは完全な親似。


だが、小さい頃から見て来た伊織は、此処まで固くは無かった‥
それをどう引き出すか‥‥



「柔軟性だ‥公私同じでは、その内潰れる‥
私はね、伊織とは長く付き合いたいと思うから、私的な時くらい、柔らかくなって欲しいと思うのだよ‥‥」



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