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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第16章 真実と偽り
「何処へ置いたものやら‥‥」
不要な物は殆ど処分してしまったが、本当に必要な物と‥捨てられない物だけは、こうして物置に収納してある。
とはいえ、私自らやった訳では無いので、何処に何を置いたのかはさっぱり分からない。
(大ざっぱに、父の物と祖父の物は別室に分けた筈なんだが‥)
多分、今私が探している部屋が、父の物を収納した部屋‥
小さな物ではないから、簡単に見付かると思っていた。
「気長に探せば見付かるかね?」
これからの目的に必要な物、そして父の最後の意志の物‥
だからこそ、一番最初に探そうと思ったのだが‥‥
「・・・
お手伝いします‥会長」
「すまないね遠藤‥
多分この中にしまわれてある絵を探して欲しい‥」
「絵‥ですか?
先代社長の私室に飾ってあった‥‥」
「良く知っているね‥
私は此処に戻るまで知らなかったよ」
「・・・何度かは‥‥」
探しながらも少しの会話‥
遠藤は知っていたのか、父の部屋にあった、あの絵の事を‥‥
「処分した‥そう思っていた‥
まさか父が、先手を打って抜いていたとは気付かずに‥‥
この屋敷を改装する時も、結局は捨てられ無かったんだよ」
「あれは、会長がお描きになった絵でしたか‥」
「絵を描いていた事は、覚えていたんだね‥
止めてしまってから16年も経つのに‥‥」
「微かには‥覚えています」
無表情に探す遠藤を見て、全く意識してない訳では無いと思ってしまう‥
お互いに、ぎこちないのは‥仕事としてしか会わないからだ。
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