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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第8章 仮面と憩い



「それでしたら、候補者はリストアップされています」


持って来ていたファイルを1つ、私の方に差し出す‥予想は付いていたか。



「・・・・・
皆それなりの経歴・・」


リストアップして持って来ただけあり、このホテルで活躍はしている人物ばかり…
さて‥どう選ぶべきか?



「不都合がありましたか?」


「それは無いが、差し出されたからといって、急に決まるものでも無い」


「・・当たり前の話です」


「一度持ち帰り、会議に掛けた上で正式に決まる‥そういうものだろう」


「はい、その通りです」


・・これは無理やり矢面に立たされた口か…
向こうも警戒している‥そう見る。



「そう言えば山崎君‥だったか?
君の役職は??」


「フロントのチーフマネージャーです」


「・・なるほど…」


フロントとなると客対応が上手い、つまり仕事としては余計な事を言わないのを出して来た訳か。



「・・・あっ!
思い出しました、杉田さん‥‥でしたよね?」


「えっ・・・?」


その名で呼ばれるという事は・・・



「覚えていませんか?
ダーツバーで一度会いました‥あの時は美里としか名乗りませんでしたが…」


「・・・・・」


あの時の・・・


あまり関係を持った女性は覚えていないのだが、流石にこの美里という女性の事は覚えている‥その名前のせいで…



(・・・参ったな‥)


今日は名乗りこそしていないが、早乙女として来ている…
上手くバレない事を祈るしか無さそう・・



「あの・・・」


「・・・
人違いでは無いのかね、私は君に会った事は無い」


こう返答するしか…


もう6年も前の話、正確に覚えている訳でも無いだろう…
開いた年月‥それに賭ける、此処で杉田季永の話を持ち出されるのも都合が悪い。


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