この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い残り火
第1章 第1章
「早く俺の由香利ちゃんこないかなー」
英語の授業が待ち遠しい鈴木が、女の裸体が描かれたノートを一馬の机にぽんと置いた。
「お、お前……」
鉛筆書きのそれは、足を斜めに折り畳んで床に座り、両手をうなじにまわして流し目で挑発する女だった。
大袈裟に描かれた巨大な乳房は陰影をつけているせいで量感が感じられ、僅かに開いたその唇からは、今にも神谷由香利の吐息が聞こえそうだ。
「す、すげえ身体」
「似てるだろ」
「う、うん。見たことないけど」
「ははっ、俺も。ここが難しかったんだ」
そう言って乳首を撫でる指先が妙に生々しい。
「鈴木、馬鹿だなお前」
二人して笑った後、ノートは男子のみに手渡され、一日をかけて教室を一周した。
一馬はその女が自分を誘っているように見えた。その顔は神谷由香利から真琴に変わり、理恵子に変化し、芽衣と化したところで慌てて打ち消した。
「俺、辞書は無理だな」
鈴木の声に、黒ぶち眼鏡の西崎の顔を裸体画に嵌めてみる。だがそれはすぐに消去され、再び真琴の顔へと変換された。
「あぁん、一馬くん凄いよぉ……」
真琴の声がした。
英語の授業が待ち遠しい鈴木が、女の裸体が描かれたノートを一馬の机にぽんと置いた。
「お、お前……」
鉛筆書きのそれは、足を斜めに折り畳んで床に座り、両手をうなじにまわして流し目で挑発する女だった。
大袈裟に描かれた巨大な乳房は陰影をつけているせいで量感が感じられ、僅かに開いたその唇からは、今にも神谷由香利の吐息が聞こえそうだ。
「す、すげえ身体」
「似てるだろ」
「う、うん。見たことないけど」
「ははっ、俺も。ここが難しかったんだ」
そう言って乳首を撫でる指先が妙に生々しい。
「鈴木、馬鹿だなお前」
二人して笑った後、ノートは男子のみに手渡され、一日をかけて教室を一周した。
一馬はその女が自分を誘っているように見えた。その顔は神谷由香利から真琴に変わり、理恵子に変化し、芽衣と化したところで慌てて打ち消した。
「俺、辞書は無理だな」
鈴木の声に、黒ぶち眼鏡の西崎の顔を裸体画に嵌めてみる。だがそれはすぐに消去され、再び真琴の顔へと変換された。
「あぁん、一馬くん凄いよぉ……」
真琴の声がした。