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青い残り火
第7章 第7章
書き直しを繰り返してよれよれになった紙を、一馬は上から見下ろした。
なんでこんなことを書いたんだ……
教室は静寂を取り戻した。一馬の沈黙が何を意味するのか、どんな言葉を綴ったのか、千紗と桃香だけでなく、皆が注目して耳をそばだてた。
「お願いします」
「……はい」
一馬は覚悟を決め、用紙を手にして西崎と目を合わせた。
「“あなた“
あの日のあなたが
俺の頭から消えない
……すぐそこにいるのに
手を伸ばせば届くのに
それを許さないあなたが
歯がゆくて……愛しい
……俺に気付かないあなたが
歯がゆくて、愛しい……」
読み終えた彼は、真っ直ぐに西崎を見た。あちこちからため息が漏れ、誰かが小さく呟いた。
「いいなぁ、芽衣……」
拍手が起こり、はっとした一馬は西崎をみつまたまま着席した。けれど西崎は、朗読の途中で辞典を開いていた。そしてそのまま、彼と目を合わせることはなかった。
「では本田さん、お願いします」
「はい」
なんでこんなことを書いたんだ……
教室は静寂を取り戻した。一馬の沈黙が何を意味するのか、どんな言葉を綴ったのか、千紗と桃香だけでなく、皆が注目して耳をそばだてた。
「お願いします」
「……はい」
一馬は覚悟を決め、用紙を手にして西崎と目を合わせた。
「“あなた“
あの日のあなたが
俺の頭から消えない
……すぐそこにいるのに
手を伸ばせば届くのに
それを許さないあなたが
歯がゆくて……愛しい
……俺に気付かないあなたが
歯がゆくて、愛しい……」
読み終えた彼は、真っ直ぐに西崎を見た。あちこちからため息が漏れ、誰かが小さく呟いた。
「いいなぁ、芽衣……」
拍手が起こり、はっとした一馬は西崎をみつまたまま着席した。けれど西崎は、朗読の途中で辞典を開いていた。そしてそのまま、彼と目を合わせることはなかった。
「では本田さん、お願いします」
「はい」